2022 年8 月に開催する「【環境×インドネシア】環境問題解決につながる商品企画を考えるオンラインSDGs インターンシップ」に特別講師としてご登壇いただいたBALIISM Japan 株式会社 代表取締役の長谷川 真之さん。

長谷川さんの今までの活動やインドネシアの社会問題に対する想いをお伺いいたしました。

ソーシャルキャリア
長谷川 真之さん
埼玉県出身。日本大学芸術学部デザイン学科 インダストリアルデザインコース卒業。バリ島へ英語留学をしたことをきっかけに、バリ島で生産されるエコな素材を使ったインテリアブランド “BALIISM”を2015年に立ち上げる。現在はバリ島と日本を行き来しながら、環境にやさしい”サステナブルな暮らし”をテーマにした商品の開発とサステナブルな暮らしの研究に取り組んでいる。

モノづくりと環境問題を学べるバリ島へ英語留学

baliism

– 現在はどのような社会問題に取り組むソーシャルキャリアに携わっていますか。

SDGs やプラスチックごみ問題の解決に向けて、プラスチックゴミを削減することができる商品の企画および製造をしています。また商品を買っていただいたお客様やSNS を通じてSDGs 現社会における「モノ」と「人」とのあるべき姿や関係性について発信し続けています。

– バリ島のエコな素材を使ったインテリアブランドを展開されたきっかけは何ですか。

新卒では、パソコンやスマートフォンのアクセサリーを作っている製造メーカーに就職し、商品企画・外装デザイン・パッケージなどを手掛けていました。海外に出張することが多かったり、海外のお客さんとコミュニケーションをとることが多かったので、英語力を身につけようと思い、休職をして英語留学を検討していました。

欧米は日本人が多く留学しているのですが、バリ島は日本人が少なかったことと、ただ英語を勉強するだけでは面白くないと思っていたので、自分の興味のあるモノづくりや環境問題について学べるバリ島に留学を決意しました。

– 「モノづくり」は、いつから興味を持たれたのですか。

モノづくりに関しては、高校に進学をするタイミングで「将来何をするのか」ということを考えた上で進路を選択するようにと先生に言われ、当時からインテリアに関心があったので、モノづくりの道を歩もうと思いました。そのため、高校・大学では、モノづくりに関して学んでいました。

– 「環境問題」は、いつから興味を持たれたのですか。

大学のゼミ教授が、環境問題をテーマにしていたので、その頃から環境問題につながるモノづくりをしたいと思っていました。今の仕事に直接的に結びついています。
大学在学時にも環境問題につながる製品を実際に考えていて、当時は雨水を有効利用できるように、雨水を貯めるタンクを設置して、その水を洗車や植物の水やりに活用できる製品を開発しました。

ソーシャルキャリア
長谷川さんが大学時代に卒業制作を発表している様子
ソーシャルキャリア
卒業制作で発表した雨水を貯めるタンクの提案

持続可能なバリ島の生活

ソーシャルキャリア

-バリ島での留学生活中は、どのようにして環境問題について学べましたか。

バリ島の日々の生活を通じて、環境問題やSDGs 時代のあるべき暮らし方のヒントを学ぶことができました。
田舎の方は、現在も川で洗濯をしたり、食材はほとんど買わずに自給自足な暮らしをしている方が多くいます。冷蔵庫はないのでその日のうちに調理してすべて食べるというような暮らしをしているのです。バリ島(特に田舎の方)では時々、停電があるので洗濯機を使って洗濯すると万が一途中で停電してしまうと洋服は綺麗に洗えず、脱水もできませんし、冷蔵庫は停電してしまうと食べ物が傷んだり、冷凍庫においては霜がついてしまったり、冷凍庫内部の温度が上昇し中が水浸しになってしまうリスクがあります。
その光景を見て、普段私たちが日常で便利と思い消費しているものが、実はバリ島では便利ではないのだと気づかされました。伝統的な暮らしの方がバリ島では理に叶っていて快適に暮らせるのです。その自然と調和した暮らしは美しく、そして環境負荷も少ない暮らしであると思いました。その暮らしの中から先進国である私たちも学べる事、ヒントがあると思うのです。

若いうちに自分の好奇心はアクションに起こす

製品の試作品を現地職人が制作している様子
製品の形状を決定するためのアイデアスケッチ

– 製品メーカーの会社で英語を使うために語学留学をされていたのですが、どのような経緯で起業をされたのですか。

バリ島には7か月ぐらいいたのですが、英語留学が終わると「もっと知りたい!」という気持ちがとても大きくなったんです。もちろん復職も考えましたが、若いうちに自分の好奇心をアクションに起こしたほうがいいと思ったので、もう一度インドネシアに行くことを決意しました。
やっぱり年をとっていくと学校に通っても、「生徒」というより「お客様」という風に見られてしまって、自分が間違っていることを教えてくれなかったり叱られなかったりと気をつかわれてしまいます。若ければ若いほど、吸収できる環境があると思い、今インドネシアに行った方がいいと思いました。
そしてバリ島滞在2年目で、バリ島の魅力を多くの人に知ってもらいたいと思い、バリ島発のインテリアブランドBALIISMを立ち上げました。設立当初から今もなお、バリの伝統的な暮らしからインスピレーションを得ながら時代に必要とされているモノを開発しています。

– 環境問題とキャリアは、どのように結びつけようと思ったのですか。

皆さんも感じていると思いますが、私も環境問題解決をビジネスに結びつけることを、キャリアにすることに対して、ギャップを感じました。たとえば、ビーチクリーン活動で収益をあげようとすると、ビーチクリーン活動参加者から参加費を集めるしかなく、参加費をもらうと、そもそも人が集まりにくい問題があるのでビジネスとして成立しません。では何故、製造ブランドにも関わらず、モノづくりだけにとどまらず、ビーチクリーン活動といった環境教育をテーマにしたイベントを今も定期的に行っているのかというと、まずはBALIISM ブランドを知ってもらい考え方に共感できる方を増やしたいという想いがあるからです。私たちのファンになってもらえれば、その方達が未来の顧客に繋がり、知人に「知ってもらいたい素敵なブランドがあるの。」と紹介してもらえるかもしれないからです。
また、環境問題解決のニーズがあるインドネシアだからこそ、環境問題解決につながる商品が求められると思います。実際ブランドを展開していく中でも、企業から案件を受注したりします。その事業収益を使って、インドネシアのモノづくりに携わる方々へビジネス教育として還元していきたいと考えています。

世界に通用するインドネシアブランドを目指す

ソーシャルキャリア

– インドネシアのモノづくりに携わる方々のビジネス教育とは、どのようなモノを考えていらっしゃいますか。

インドネシア製のインテリアや雑貨において、製造している会社名やブランド名はほとんど浸透していません。
商品が個々に輸入されていて、木の器、アタのバックといったように 商品の名称しかわからない状態なのです。
たとえお客さんがその商品を気に入ってリピートしようとしても、ブランド名が分からないためweb サイトやSNS アカウントを見つける事ができず、購入したお店に同じものがまた欲しいと話す必要があったりします。
ブランド名を覚えてもらえる事はリピートに繋げるために大切な事です。そのためブランディングの大切さについて現地スタッフやマネージャー全ての方に理解してもらえるよう説明しています。
それに対して、日本はブランディングに成功をしている企業が多いです。インドネシア国内でも、日本の電化製品や食品はほとんど手に入れることができます。なので私が感じているインドネシアと日本のブランディングの違いを、インドネシアのモノづくりに携わる方々のビジネス教育につなげていきたいと思います。

モノを通じて人に幸福や学びを与えられる

ソーシャルキャリア

– 長谷川さんにとって、ソーシャルキャリアに携わることのやりがいは何ですか。
TV、新聞、ラジオ、雑誌といったあらゆるメディアや環境やデザイン性を評価するアワードで第三者から環境に貢献している企業として取材を受けたり、評価されることです。近年SDGs が注目されるようになり、継続してコツコツと自分や従業員たちが頑張ってきたことがようやく評価され自信につながりました。

-長谷川さんが、ソーシャルキャリアに携わる中で大変に感じることは何ですか。

どんなモノを作るにあたっても、加工するためのエネルギーや資材は必要なため、大なり小なり環境に負担はかかります。また利益を重視していこうとするとコスト削減につながり、環境に負担のかかる素材を使わざるを得ない場合があります。
企業として利益を出しつつ環境性も考えたバランスの良い、モノづくりをすることが大変です。しかし、その苦労を乗り越えた先に大きな成果や達成感があります。サステナブルプロダクトのパイオニアとして相応しいモノづくりの在り方をこれからも模索していきます。

将来のキャリアパスにつながる知識と人脈

-オンラインSDGsインターンシップを検討している学生にメッセージをお願いします。

SDGsは少なくとも2030年まで、どこにいても関わってくるものなので、SDGsに対する知識は、これからの皆さんのキャリアパスにとって、強みになると思います。特に今回は、現地の社会起業家や現地学生と一緒に実際に環境問題に取り組むことで、SDGsに対する知識や実践的なスキルを身につけられると思います。

また日本人だけでなく、同世代の現地学生と一緒に活動をすることで、仲を深めながら様々な視点を学び合い、これからも関わっていく現地学生との人脈作りになると思います。

自分の強みを早い段階で見つける

オンラインSDGsインターンシップ

-ソーシャルキャリアを目指す学生にアドバイスはありますか。

自分の強みを早い段階で見つけましょう。そして、それを徹底的に磨いていき、誰にも負けない尖ったスキルを早い段階で身につけてください。自分の不得意なところを改善していくよりも、強みを磨いていく方が活躍しやすい時代です。
就職するにあたっても、初任給の給与や待遇だけを見るのではなく、やっている事業や理念に共感できるかどうかが長く仕事をしていく場合、重要になると思います。

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