初めまして!京都で国際問題を勉強している大学生、木下です。
私は2022年に行われたSDGsインターンシップに、「カンボジア×ファッション」をテーマに参加しました。

この文章を読まれている方はきっと、ソーシャルスタディ(途上国のSDGsに取り組む海外インターンシップ)に参加しようか迷っているのではないでしょうか?確かに参加費は学生にとっては少し高額ですし、実施される期間も長く、スケジュール管理も心配ですよね。

私のこの体験記が、皆さんが決断する際の参考になればうれしいです。

この記事で知れること

この記事で知れること

・ソーシャルスタディの概要
・インターンシップを通して学んだこと
・参加する前に何をしたら良いか

インターンシップへの参加

関心を持ったきっかけ

まずは、私がなぜファストファッションとカンボジアの問題に関心を持ったのかを説明させてください。

私は今年の上半期に、イギリスのチチェスターに留学していました。授業中に「The true cost 〜ファストファッション 真の代償〜 (2015)」という、ファストファッション業界の闇に迫ったドキュメンタリー映画を観、衝撃を受けたことがきっかけとなりました。その映画は、2013年、カンボジアにある縫製工場が崩壊した事故の様子から始まります。労働者の人権を無視し、ずさんな建設工事を行っていたことが事故の原因です。

視聴後は主に、ファストファッションの対義語となる『エシカルファッション(倫理的なファッション)』に貢献している日本ブランドのインターンを探していました。幸運なことに、在籍している日本の大学からちょうど、エシカルファッションに関する海外インターンシップの紹介を受け、興味を持ちました。

(ちなみに、文中で紹介した「The true cost」、アパレル業界における環境・労働者の人権問題について、基礎的な内容を取り扱っています。興味のある方はぜひご視聴ください!)

授業の一環として行われた、古着を購入するか、古着同士を物々交換(Swop)する「Eco‐Friendly Swopshop」の様子

事前に説明会が行われている

夏休み期間の8月半ばの12日間ということで、スケジュールの問題はなかったのですが、気になるのはその参加料と内容です。今回参加したインターンシップは六万円ほど。留学で多くの出費を重ねた私は、大いに悩みました。

「インターンシップの内容が、ドキュメンタリーで観たような基礎的な内容だったらどうしよう?」

「100%英語で行われるのはいいけれど、うまくコミュニケーションが取れなかったら?」

ということが心配で、なかなか決断することができませんでした。そこで企画元であるソーシャルマッチ様にメールで質問をしたところ、毎週月曜日の20時からオンライン説明会を実施しており、またその様子を録画し共有してくださるという返信が!

他と類を見ないレッスン内容

英語・特技を活かしながら参加できる

ソーシャルスタディの全てのプログラムがそうではありませんが、今回のカンボジアとのインターンシップでは、毎レッスンを英語で行う必要がありました。(求められる英語レベルはTOEICスコア 550~)

やはり、第二言語での話し合いは想像以上につかれますが、やりごたえはあります。参加者全員が英語学部というわけではないので英語能力に差はありますが、個人的には、コミュニケーションにおいて大きな問題はなかったと思います。むしろ、他学部だからこそ、メカニックな分野においてチームに貢献してくれるなど、互いの得意不得意を補い合う、良い経験になりました!

途中、考えがまとめられなかった場合は、メッセンジャーアプリやZoomのチャット欄を駆使するなど、工夫しながら取り組むことができました。

理解しやすい簡単な英語を使うというのも重要なポイントです。 

実際に働いているかのような、実践的なプログラム

ソーシャルスタディならではのポイントは、他にもあります。

私が参加した「カンボジア×ファッション」インターンシップの大きな特徴は、

「自分のアイディアを商品化するチャンスがある」ということ。

連携先であるカンボジアブランド・Dorsuの代表者が、それぞれのグループの商品アイディアを評価。
商品案が、実際に商品化され発売される可能性もあります。こんな機会、大学生活ではなかなかありません。

一方、アイディアを練る中で、以下のポイントを意識しなければいけません。

  • 使用済み布の端材を活用すること(Eco‐friendly)
  • カンボジアの社会問題に良い影響をあたえること(Effects on social issue)
  • 実現可能であること(Feasibility)
  • ライバル社との差を生むため、独創的であること(Creativity)

一見、学生には難しそうに思えますよね。
しかし、グループのメンバーが各々の知識や得意分野を生かすことで、課題を乗り越えることができました。実際に自分のアイディア、商品が発売されるかもしれないということで、しっかりと責任感をもって参加できます。

SDGs/マーケティングを基礎から学べる

もちろん、英語でマーケティングやビジネス、サステイナビリティの授業を受けたことがない方もいると思います。

しかし、心配する必要はありません。

ビジネスにおける基礎講座は、最初のステップとして組み込まれています。よって、どのように考えを進めていけばよいか、うまく情報を整理するコツなど、前もって流れを押さえながら進められます。

学年や経験の有無を気にしすぎなくても大丈夫です!

12日間のスケジュールは大まかに、以下のような流れで進められました。

1.グループ内のアイスブレイク(良い雰囲気づくり)/カンボジア、SDGsに関する基礎的な内容の確認

2.インタビュー&マーケティングのためのレクチャー

3.海外経験のある起業家、Dorsuへのインタビュー

4.インタビューをもとにマーケティング会議

5.途中経過プレゼンテーション/フィードバックをもらいアイディアを再考・改善

6.最終プレゼンテーション、Dorsuの代表が商品化するアイディアを決定

この経験から学んだこと

フィードバックでお互いの強み、弱みを確認

全ての工程が終わると、Dorsuから各グループへの評価とフィードバック、そして、グループのメンバーから個別でフィードバックをもらうことができます。

つまり、

  • マーケティングの観点からの商品案に対するフィードバック
  • チームメンバーとしての立ち回りに対するフィードバック

の二つの観点から、自分の活動を省みることができるのです。

例えばマーケティングの場合、私のグループで発案した、布ナプキンとパッチワークを掛け合わせた「パッチワークナプキン」。

「社会への影響」「独創性」の分野では満点ですが、「実現可能性」の評価はイマイチでした。

使用したスライドと実際の評価。グループ評価は惜しくも二位でした。

個人への評価では、「リーダーとしてメンバーの考えをまとめることには長けているが、書記や時間の管理など、他者の役割まで自分でしようとするところがある。」といった評価をもらいました。

グループワーク中、なんとなく気づいてはいた短所でしたが、やはり意識するだけでは改善しないこと、行動から変えなければ状況は好転しないことを痛感しました…

全体を振り返って

さて、12日間を振り返ると、自分の至らなかった部分も多く見えてきます。
やはり、全てうまくいったとは言い切れない部分も多くありました。
特に、自分はチームリーダーとして努力を重ねたつもりでも、自分よがりな言動になっているのではないか、無駄の多い進行をしていないか、などという悶々とした不安がありました。

しかし確実に言えることは、この12日間、私は全力でカンボジアの社会問題に向き合い、チームメンバーの意見に耳を傾けられたということ。

インターンシップ終盤では、話し合いの時間が足りずひやひやしましたが、無事最終プレゼンテーションを終わらせられた達成感や喜びは、今でも覚えています。

前向きな姿勢と小さく積み重ねた努力のおかげか、最終日には日本人学生の中でMVPを頂けました。
これは本当に予想していなかったので驚きましたが、やはり「努力は必ず誰かに見られている」のだと実感し、嬉しく思いました。

最後に

どうでしたか?

この記事によって皆さんがSDGsインターンシップに興味を持ち、キャリア形成の発端になれば幸いです。

もし参加されるなら、

SDGsの知識をつける
SDGsに役立つ語彙やフレーズを覚えておく

などの事前準備をしておくと、始まりをスムーズにすることができるのでお勧めです。

何事も始まりはぎこちなく、不安なものです。
しかし、この経験は他に類を見ない、あなただけの自慢になるはずです。
あなたの努力は必ず見られています。あと必要とされているのは、あなたの勇気と前向きな姿勢だけ!
応援しています。

ここまで読んでくださりありがとうございました!