カンボジアで中低所得者層向けの住宅を提供する社会起業家のコンギー氏と共同で、カンボジアの家の建築デザインを考案するオンラインインターンシップをソーシャルマッチ株式会社(旧:株式会社value)が展開するソーシャルスタディにて実施いたしました。
今回のプログラムには、北九州市立大学の国際環境工学部建築デザイン学科3年生3名・1年生1名の計4名が参加しました。また最終日には、カンボジアの有名建築デザイン会社HKA & Partnersのチタ氏・王立プノンペン大学の日本語学科のスレイネット氏とメンリー氏にもゲストとして参加していただきました。
カンボジア人社会起業家コンギー氏
コンギー氏は、中低所得者層の方々が手頃な価格で住宅を購入できるように安価で安全なレンガを独自開発し、それを使用して中低所得者層向けの方々に住宅を提供しています。
コンギー氏の独自開発したレンガは、従来のレンガよりも木を伐採せず生産できるため森林を守ることにつながり、また建築方法が簡単なので、独自のレンガを使用して家を建てるトレーニングを地元の方々に行い、建築労働者としての雇用も創出しています。
社会起業家の抱える課題
コンギー氏は、以前よりカンボジアの家の建築デザインは実際の生活が考慮されていないため、もっと人々が楽しく快適に暮らせるような家を提供したいと思っていらっしゃいました。しかし、会社に建築デザインを描ける人がいなかったため、なかなか改善することができませんでした。
そのため、今回はそのようなコンギー氏の抱える課題を解決すべく、北九州市立大学の国際環境工学部建築デザイン学科の学部生4名がコンギー氏にカンボジアの家の建築デザインを提供するインターンシッププログラムに参加していただきました。
インターンシップの流れ
上記のスケジュールのもと2月25日から3月18日の4週間にかけて、カンボジアの家の建築デザインを参加者の皆さんに考案していただきました。
中間報告では、建築デザインのフィードバックやカンボジアの住宅でよく使われている素材について社会起業家から説明をしていただきました。
最終日には、社会起業家のコンギー氏・カンボジアの有名建築デザイン会社HKA & Partnersのチタ氏・王立プノンペン大学の日本語学科のスレイネット氏とメンリー氏に中間貧困層向けの建築デザインをプレゼンし、フィードバックをいただきました。
参加者インタビュー
ソーシャルマッチ株式会社 金:今回リーダーを務めていただいたと思いますが、古賀さんは、今回のインターンシッププログラムに参加してみていかがでしたか。
北九州市立大学 国際環境工学部建築デザイン学科 3年生 古賀さん: 今まで建築デザインに関するプログラムにはいくつか参加してきましたが、今回のようにカンボジアの中間貧困層向けの家の建築デザインを考案するプログラムは初めてでした。SDGsやカンボジアの社会問題について新しく学ぶこともでき、4週間という限られた期間の中でメンバーと議論を重ねながら、建築デザインも考案することができてよかったです。
ソーシャルマッチ株式会社 金:小林さんは、参加者の中でも唯一の1年生でインターンシッププログラムに参加されましたが、どのようなことが難しかったですか。
北九州市立大学 国際環境工学部建築デザイン学科 1年生 小林さん:建築について分からないことも多かったので、3年生の先輩方から学びながら建築デザインの案を自分で考えてみました。
特にカンボジアの家には、どのような素材を使えばいいのか、またそれに対してどれくらいの費用がかかってしまうのかなどを考えなければならないので難しかったです。
ソーシャルマッチ株式会社 金:分からないことが多い中、建築デザインを設計するのは大変ですね。参加者4名の今回の取り組みに対して、コンギーさんはどのように思いますか。
社会起業家 コンギーさん:ひとつの問題に対して、解決策を見出すのはとても時間がかかります。
私もどのような素材が一番いいのか分からなくなることもあります。また、適切な素材を見つけるのに時間もかかります。
今回みなさんには、短い期間で分からないことも多い中、中低所得者層向けの建築デザインを考案していただきました。これからは、色んな社会の問題に対しても少しずつ今回のように解決策を見出してほしいです。
ソーシャルマッチ株式会社 金:今回のインターンシッププログラムを通して、どのような学びがありましたか。
北九州市立大学 国際環境工学部建築デザイン学科 3年生 舟津さん:カンボジアの中低所得者層向けの家の建築デザインを考えることは難しかったです。毎回コンギーさんに色んなフィードバックをもらい、もっと実際に生活する人々の立場に立って、建築デザインを考えないといけないと思いました。これからの建築デザインも、相手の立場に立つことをより意識していこうと思いました。
北九州市立大学 国際環境工学部建築デザイン学科 3年生 新田さん:北九州市立大学ではSDGsに関係する授業も多かったので、色々SDGsについて学んできました。ですが、今回のインターンシッププログラムを通して、SDGsに取り組むコンギーさんに建築デザインを考案し、自分もSDGsに取り組む実践ができ、貴重な経験を得ることができたと思います。SDGsは学ぶだけでなく、改めて実践することが大切だと感じました。
ソーシャルマッチ株式会社 金:改めて参加した学生4名の感想を聞いてみて、コンギーさんはいかがですか。
社会起業家 コンギーさん:SDGsは学ぶだけでなく、実践をしていくことが大切だと私も思います。カンボジアには、まだたくさんの社会問題があるので、社会問題を解決するための実践をできる場所がたくさんあります。私自身も、安全で安価なレンガを開発して中低所得者層向けの住宅を提供するという実践をしている1人です。
またコロナが落ち着いたら、カンボジアで色んなことにチャレンジしてくれると嬉しいです。
ソーシャルスタディ のスタッフからのメッセージ
オンラインでカンボジアの住居の建築デザインを考案するという難しいテーマの中、素晴らしい建築デザインを考案いただき、ありがとうございました。
物置のスペースをたくさん設置して、カンボジアの湿気対策や屋根を大きくして、家の「ソト」「ウチ」の間の空間を作るなど参加者の皆さんのそれぞれの個性が詰まっていたと思います。
これからも、それぞれの強みを活かしながら、SDGsに色んな形で取り組んでみてください。 ソーシャルマッチ 株式会社では、学生が社会問題について学び、それに取り組めるようなSDGs教育プログラム「ソーシャルスタディ」を提供していきたいと思います。